メッセージ

究極のいじめとしての「自分いじめ」

 

いじめとは、様々な暴力的な言動によって、相手の身体(からだ)や感情・気持ちを傷つける行為です。

 

他者からそのように傷つけられることで、いじめ被害者は自分の身体や気持ち・感情を、ひいては自分自身の存在を自ら軽蔑・無視するようになります。

 

それが自分で自分をいじめるいじめ、すなわち「自分いじめ」です。

 

いじめ体験を通して、「お前なんか人間のクズだ」「お前はダメ人間だ」「お前は生きている価値がない」といったいじめ加害者の負のメッセージが次第にいじめ被害者の心の中に住むようになります。

 

いじめ加害者が物理的に離れた後も、引き続きいじめ加害者の声が、その人の心の中に生き続け、否定的な影響を与え続けるのです。

 

このことを「いじめ(加害者の声)の内面化」と呼びます。

 

いじめが内面化されることによって、いじめ被害者は自分自身に対して「自分は人間のクズだ」「自分はダメ人間だ」「自分は生きている価値がない」、といった自己否定的な言葉を不断に自ら浴びせかけるようになります。

 

そして自分の身体や感情・気持ちを軽蔑し無視するようになるのです。

 

他者からのいじめではなく、自分で自分の存在を自ら否定するという構造ができてしまいます。

 

しかし人の存在の本体は身体や感情・気持ちにあります。

 

したがって身体や感情・気持ちを軽蔑し、無視することには無理が生じます。身体が疲れているにもかかわらず、それを軽視し休ませてあげないと、体調を崩します。

 

そして怒りの感情があるのに、それを自分に認めず無視しようとするとうつ状態のような精神症状がやがてはおきます。自分いじめは、自分自身をむしばんでいくのです。

 

しかしこれらの症状は、自分の存在の本体からのSOSサインなのです。

 

これ以上、身体を傷つけないで、これ以上気持ちを無視しないでという抗議の表われなのです。

 

自分の存在(身体、感情・気持ち)の声を聴けるようになること

 

わたしたちは、自分の存在(身体、感情・気持ち)の声をきちんと聴けているでしょうか。

 

お前なんかにそんな価値はない、お前ごときが幸せを望んではならない、という内面化されたいじめ加害者の声によって、自分の素直な感情や願望を認めなかったり(否認)、意識に上らないように無意識の内に押し込んでいる(抑圧)ということはないでしょうか。

 

いじめ加害者の声に限らず、親や社会から教えこまれた偏った価値観も内面化されて自分の気持ちの否認や抑圧に加担しているかもしれません。

 

こんなことを感じたら、親に怒られる、こんなことを望んだら世間が許さない、わたしたちはそういう感情を無意識のうちに意識に上らないようにして内面化されたものと自分自身の感情を合致させているのです。

 

しかし人間存在の本体は、その声を聴いてもらえず、不当に否認されたり抑圧されたりすると、身体症状や精神症状を起こして、それら偏った価値観や内面化された声に抵抗するのです。

 

したがって、そうした身体的・精神的症状から自分を回復させるためには、自分の身体の声や本音の気持ちを自分自身が丁寧に聴いて、それをあっていいものとして受け入れていくことが必要です。

 

自愛を育てることで「自分いじめ」を終わりにする

 

自分いじめが止まるとき、それは自分の中に自愛が生まれる時です。

 

自愛とは自分の身体や感情・気持ちを尊重することです。

 

この場合の尊重とは、身体や感情・気持ちを「善悪判断の対象」ではなく(生理反応や感情にいいも悪いもありません)、「善悪判断の根拠」として尊重するということです。

 

それは自分の存在の声をきちんと聴き、それを基準にして善悪判断し、行動していけるようになることなのです。

 

連日の残業で体が疲れ切っているにも関わらず、ノルマが終わるまで体にムチを打って無制限に残業をし続けるのか、たとえノルマが終わらなくても、身体の声・SOSをきちんと聴いて休養をとるべきときはとるのか、外部の要求・要請だけではなく、自分自身と相談して決断することができるということです。

 

そのとき自分とのやさしい愛ある関係が取り戻され、自分いじめは止まります。

 

それは心に安心と安定をもたらします。

 

たしかに内面化されたいじめの影響力は一足飛びには消せるものではないものの、しだいにその力を消失させていくのです。

 

自分いじめがやめられない方は、傾聴カウンセリングを受けることをお勧めします。

 

傾聴カウンセリングのプロセスとは自分の存在、つまり自分の身体の声や感情・気持ちを丁寧に聴いていき、それらを受け入れていくことです。

 

それはあなたが自分自身と仲良く付きあっていくことができるようになるための支援なのです。

 

みんなに話したいの。自分を切るな、自分を傷つけるな、そして自分を憎むなって。わかる?それって、本当に大事なことよ。私はもっと早く気が付けばよかった。だから、みんなにそれを伝えたいの(『真昼の悪魔』十二章「希望」)

 

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限りある短い人生の中で、あなたはいつまで「自分いじめ(自己否定・自己蔑視)」に身を削っているのでしょうか?あなたが一日でも早く自分自身のことを本当に大切にできるようになり、自分らしい人生を送れるように一歩を踏み出されることを願っています。

 

 
 

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