心因性の精神疾患の区分に入る「心身症」についてお話します。
「心因性の精神疾患」とはどういうものかというと、環境や人間関係による心理的ストレスが原因となって起こる精神疾患のことです。「心身症」と「神経症」がこの心因性の精神疾患に該当します。
ところで実は心身症とは、心理的ストレスが原因となって起こる体調不良、つまり「体の病気」のことです。「体の病気」ということは厳密には、精神疾患ではないのですが、その治療に内科的(またはその他の科の)治療と共に「向精神薬」を併用するので、心因性精神疾患の前段階の病気としてここでは説明します。
心身症と言われる病気を具体的に挙げると、たくさんあるのですが、症状別に有名なものを挙げてみると、
過敏性腸症候群、胃潰瘍、神経性胃炎、狭心症、月経不順、高血圧、不整脈、緊張性頭痛、関節リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じん麻疹、円形脱毛症などです。
あなたがかかったことのある病気もあったのではないでしょうか。ただし上に挙げた病気は、心理的ストレス要因がなくても、それ自体としてももちろん発症しますので、心身症の場合はそれと区別をつけるために、「高血圧(心身症)」と診断名を書いたりすることもあるようです。
そして、心身症の治療・改善法ですが、主に次の4つになります。
1. 体の病気そのものの治療
2. 向精神薬(精神安定剤、睡眠導入薬)の処方
3. ストレス解放法・リラクゼーション法の指導
4. 必要に応じて、カウンセリング
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心身症は、もともと体の病気ですから、治療は病院で行われることになります。そこではその病気の治療はもちろんのこと、それに加えて、その発症に心理的ストレスが関与していますので、不安や、緊張が強いときは向精神薬、主に精神安定剤(抗不安薬)や不眠には睡眠導入薬(いわゆる眠剤)も処方されます。
(「向精神薬」というのは、精神症状一般(不安、いらいら、過緊張、うつ状態、幻覚・幻聴等すべて含む)を緩和するための薬の総称のことです。似た言葉に「抗精神薬」というのがありますがこれは、主に統合失調症、躁うつ病の精神症状を緩和するための薬のことで、向精神薬の中に抗精神薬は含まれます。)
心身症の治療の基本は、1、2ですが、それに加えて、緊張を自分でコントロールできるようにするためのリラクゼーション法(最もよく使われるのは自律訓練法)を指導してもらえる場合もあります。また医師の判断で、カウンセリングを受けるよう指示されることもあります。
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では、心身症かなと思ったときは、どこの外来をうけたらいいのでしょうか。
それはずばり、心療内科、です。
心療内科は、内科の病気から心身症、軽度神経症までがターゲットです。心療内科とは、そもそも「心理療法のできる内科」のことなのです。それゆえ心療内科の外来には、心理相談室などカウンセリングルームが併設されていることも多いので、もし今自分が、ストレスを感じていて、しかも何らかの体の不調を感じているのであれば、ぜひ心理相談室を併設している心療内科にかかることをまずはお勧めしたいとおもいます。
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