トラウマの回復には、その人に居場所があるということがとても大切です。居場所はどこにあるかといえば、それは人間関係の中にあります。
物理的空間は、条件の一つでしかありません。あなたが緊張しない相手と一緒にいるとき、そこがどこであれ、居場所になるのです。
行きつけの飲み屋があるとしても、そこが居場所になるのは、そこへ行けば会える気の置けない飲み友達がいるからではないでしょうか。
全然話の合わない、しかもあなたに高圧的な態度をとる人がいたら、そこは居場所にはならないでしょう。
よい人間関係にはリラックス効果がある
トラウマ・サバイバーは、基本、対人恐怖で過緊張気味です。これに長く苦しめられることになります。これはトラウマ体験によるストレス反応といっていいでしょう。
ストレス反応を軽減するためのひとつの方法は、リラックス反応を増やすことです。リラックス反応とは、心身が落ち着いて安定した状態のことです。
そしてストレス反応の不安・緊張よりも、リラックス反応の安心が大きくなれば、ストレス反応は軽減していきます。
ところで、よい人間関係にはリラックス効果があるのです。
だからあなたの居場所を見つけてください。それは、すなわち人と出会うことです。もっといえば自分の味方を作ることです。その人と一緒にいる間は、あなたはかなりリラックスできて、その時だけでも、かなり不安や緊張から免れます。
わたしは、大学時代、対人恐怖があったのではじめの一年で友達が一人もできず、大学に居場所がなくて、どんどん苦しくなっていきました。
そして2年生の夏に結局精神科につながったのですが、このまま友人がいない状態だとわたしは大学を辞めざるを得ないと思って、意を決して、勇気を振り絞って、自分からある同級生に声をかけました。そしたら幸運なことにその同級生もわたしのことを気にかけてくれていて、すぐ受け入れてくれました。
それから、その友人との交友関係がはじまり、わたしははじめて大学に居場所を持つことになったのです。そして彼がいてくれたから、わたしはなんとか生き延びれて、大学も卒業できたのではないかと思います。
カウンセリングとは安心安全な人間関係の提供
だからぜひあなたも居場所を確保してください。居場所は安心できる友人との人間関係の中にあります。良い人間関係の中ではあなたはリラックスすることができるのです。
一人そういう人がいるだけで、あなたはきっと今の生活・活動の場で生きていくことがだいぶ楽にできるようになります。そして生き延びていくことが、トラウマからの回復の第一条件なのです。
あなたがもしいまの環境でどうしても、居場所を見つけられないなら、ぜひカウンセリングルームを尋ねてみてください。カウンセリングは安心できる人間関係を提供することが第一のことです。
提供するというと「もの」みたいですが、ものではなく「人間関係」を提供するのがカウンセリングなのです、更にいうとその人間関係の中で安心安全を提供するのがカウンセリングの場なのです。
あなたが一人で苦しまず、はやく安心できる居場所をみつけられますように。
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