今回と次回で、自律訓練法を紹介していきますね。
自律訓練法は、一般には1932年にドイツの精神科医シュルツによって創始されたもので、自己催眠(セルフコントロール)によるリラクゼーション法です。
自律訓練法の効果は、
自律訓練法の効果
① 不安感や緊張の軽減、解消
② 疲労回復
③ 血圧などのコントロール、肩こり、不眠の改善
などです。
やり方は、5分のエクササイズ(「標準練習」と呼ぶ)を1日3回やること、となっています。
向いてない人は、練習意欲のない人、重篤のうつ状態の方のように気力がおちてしまっている人です。
一番のターゲットは、心身症の方(ストレス要因で体の病気になっている方)、軽・中度の神経症の方で、特に心療内科では、薬の処方と併せて、積極的に自律訓練法を指導しています。
また重篤期を抜けたトラウマサバイバーにとっても、対人緊張と不安の軽減は最大の課題ですから気力があるうようでしたらぜひ試してみることをお勧めします。
しかし、自律訓練法の適用領域は、疾患を持っている方にかぎりません。以下のようなことにも貢献できるとされています。
・病気の予防、健康増進の側面(ストレスに対する精神的な耐性が高まる)
・行動上の傾向の変化(落ち着きいた行動をとれるようになる)
・対人関係改善の側面(対人緊張の緩和)
・能力発揮の側面(集中力の強化、教育、スポーツ)
さていいこと尽くしの自律訓練法だと思うのですが、短所もあります。
それは、身に付けるのに時間がかかることです。大体2~3か月と言われています。また、その期間5分のエクササイズを毎日3回やり続けなければならないという面倒くささです(もちろん身についてからも続けていくものですが、効果を実感してしまえば、続けるのは難しいことではありませんよね)。
これが原因でなかなか根付かない、広まらないという現実もあります。
しかし、一番上に書いた、自律訓練法の効果をみすみすあきらめるのはもったいないことです。なんて言っても、一度覚えてしまえば、いつでもどこでもでき、なんの道具も費用もかからないのですから)
自律訓練法を身に付けるコツは、常に、自律訓練法の効果を思い起こしながら、モチベーションを維持して、こつこつ続けることではないかと思います。
不眠で悩んでいる人や、不安や緊張の強い方が自律訓練法を覚えることで症状の軽減を実感されたり、また一仕事して(読書でもいいですが)疲れてきたときに、自律訓練法を試みて(基本、身につけば、どこでもやることのできるものです)、あら不思議、なんか元気になってきたわー、という感じを味わっていただけたらと思います。
次回の記事では、いよいよ、自律訓練法の実際のやり方をご紹介します。
5分のエクササイズが最小単位となっていますが、覚えることを最小限に減らして(効果はほぼ減りません)やる方法をお伝えしますね。