以前の記事では、DSM5に則って、大うつ病性障害(うつ病)の診断基準を書きましたが、DSM5は基本、どんな症状がどの程度の期間あるかで、精神疾患を診断するものですが、そこには、内因性のうつ状態と心因性のうつ状態との違いは問題にされていません。
しかし一方で、同じようにうつ病と診断されても、抗うつ薬がよく効く場合と、ほとんど効かない場合があります。それについて以前も書きましたが、ここで改めて書きたいと思います。
内因性のうつ状態と抑うつ神経症
うつ病でも内因性のうつ病は、薬がよく効きます。もともと遺伝的素質的要因によって引き起されているうつ状態なので、体の病気としての色合いが濃いので、抗うつ薬が効くのです。
それに反して、心因性のうつ状態である抑うつ神経症には、薬がなかなか効きません。特にトラウマが引き金となってPTSDやうつ状態を発症している場合には、その原因が社会・心理的ストレス要因が原因となっておりますので、その人自身のトラウマや心の悩み・葛藤が解決しないと、なかなか抗うつ薬を飲んでもうつ状態は良くなっていきません。
わたしは、大学生2年の21歳の時、精神的に破たんし、精神科につながりました。それから同じ主治医の元、5年間通院しましたが、いくら薬を量飲んでも、種類を変えても、本人としては、全然楽になれず、抗うつ薬が効かない時期が(実際には少しは効いていたとおもいますが)、7年位続きました。抑うつ神経症(PTSD)だったのだとおもいます。
この7年間身悶えしながら苦しみましたが、よくなったのは、自分自身のトラウマの問題が自分の中で解決できたときでした。そしたら、抑うつ状態も快復していったのです。今から考えると、トラウマからくる葛藤が収まらず、それが長い間心理的ストレスとなっていたために、わたしのうつ状態は遷延化してしまったのだと思います。
何度も書いていますが、神経症には、カウンセリングがよく効きます。しかし、20年前の精神科では、どんなにいい先生だとしても決して、カウンセリングを受けた方がいいなどと勧めてはくれなかったのです。
読者様におかれましては、自分の精神疾患が、精神病なのか(主に内因性うつ病)、神経症なのか、をよく見極めて、時には、自分からカウンセリングを受けることを求めていってほしいと思います。きっともっと早くうつ状態がよくなっていくはずです。
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