真昼

 

こんにちは、下村順一です。

今日は、希望の言葉を味わいたいと思います。

 

アメリカの作家でうつ病サバイバーの彼の言葉は、うつ病という病気そのものを通り越して、すべての病苦の困難に打ちひしがれ悲しみにある人々を慰め励ましてくれているとわたしは感じます。

 

トラウマは真実を映す窓

 

病気は、ほとんどの人間が暗闇のなかに隠しておく痛ましい真実に光をあててしまう。うつ病は人間の本質を拡大して見せる。長いあいだ追っていくうちに、私は、精神疾患はよい人間をよりよくし、悪い人間をより悪くすると考えるようになった。それは人間のもつ調和のとれた感覚を破壊し、妄想に満たされた幻想を見せ、絶望というまちがった感覚を植え付けるけれども、真実を映す窓でもあるのだ。(アンドリュー・ソロモン『真昼の悪魔』「希望」原書房 堤理華訳)

 

トラウマサバイバーのトラウマサバイバーたるゆえんは、自分の受けとめきれない現実を症状あるいは障害によって日々暴力的に間接的に直視させられることにあるのではないでしょうか。

 

トラウマ体験の真実に目を向けることはとても痛いことだから、とても直視などできない、しかし心の傷は、症状や対人障害などの形でわたしにしがみついていて離れず、わたしの頭から体から離れて行ってはくれない。

 

奴らは、わたしが本当にその真実に目を向け、受け入れることができるようになるまで執拗に追いかけてくる。

 

それはもしかしたら一生続くことかもしれない。一生追いかけてくるのかもしれない。

 

真実と向き合えるようになる日まで

 

しかしわたし自身も時と共に変わりつづけるし、いつかは真実に優しく目を向けられるようになることを信じたい。

 

それが希望だ。

 

時間を味方につけろ、とある精神科医が言っていた。

 

いつか真実に優しく目を向けられるようになって、自分を受け入れられるようになったならば、その時はきっとすべては取り返しがつくのだとおもう、間に合うのだ。

 

トラウマ体験によって、たとえ「絶望と言うまちがった感覚を植え付け」られたとしても、生きてさえいれば、わたしたちにはまだ希望が残っている。

 

あなたが真実に優しいまなざしを向けられるようになるまで、なんとか持ちこたえられますように。

 

 

傾聴カウンセリングを受けたい方はこちら

コラム全記事はこちら